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報告レポート(127回)





2009年 1月30日(金) 15:00〜18:00
会場:TOTO 新宿エルタワー26F プレゼンテーションルーム(東京都新宿区)

■公共トイレ付帯設備シリーズ(1)
〜オムツ交換台などトイレ用ベビーケア備品の開発からメンテまでを共に考える〜


講師:
コンビウィズ株式会社
企画部開発企画グループ 麻上秀篤氏

アントイレプランナー代表 白倉正子
(「育児関係者から見た最近のトイレ事情」を講演)


 今回は、ベビー用品総合メーカー「コンビ」の関連会社で商業・公共施設・車両等,様々な施設に対応したベビーケア備品の開発からメンテまでを手掛けているコンビウィズさんを講師に迎えました。
 又,メンテ研会員で育児真最中でもある白倉正子さん(アントイレプランナー代表)が,リアルな育児とトイレにまつわる様々な事をレポートしてくれました。



第一部「オムツ交換台などトイレ用ベビーケア備品の開発からメンテまでを共に考える」

講師:コンビウィズ株式会社 企画部開発企画グループ 麻上秀篤氏

1、コンビ社の紹介

 今日は最初に、私どもコンビウィズ社の100%親会社であるコンビ株式会社の50周年記念VTRで会社概要を紹介させて頂きます(社会情勢と会社の歴史を絡めた面白いVTRでした)。

【概要】
・当初(1950)は医療器具の製造を行っていた。
・その当時,新素材であるプラスチックに目をつけて製品を開発していった。
・年代毎に様々なヒット商品が生まれた。代表的にあげると哺乳瓶,白鳥のおまる,ベビーカー,乗用玩具(子供がまたがって乗る車型遊具。製品名:ピーター,バンバン),チャイルドシートなど。
・又,健康産業にも進出していて,エアロバイクなども開発した。


2、コンビウィズ社の誕生と現在

 コンビ社の誕生時(1950頃)は、日本の誕生人口は、約269万人で年齢別人口グラフはピラミッド型でしたが,近年では少子化が進み,誕生人口100万人前後に減少し、歪なピラミッド型になっています。
 しかし,社会状況の変化(女性の社会進出や核家族増加など)により子育て環境整備のニーズは,高まる一方なのです。それに応えるかたちで誕生したのが私の所属している子会社のコンビウィズ社です。そちらでは「育児中でも,いきいきと外出をたのしみたい」という事、つまり「外出支援」をする為に様々な事業展開をしております。
 これまでは初代トイレ用製品のベビーシート,ベビーキープを始めとした様々な設備・備品を開発・設置していきました。更に商環境の変化や法整備により,商業施設が多様化し,それと共にベビーケアのトータル提案を進めていきました。
 現在ではベビーケアシステム物販(トイレ備品,買い物カート,ベビー休憩室,保育・外食むけ什器等)と保育サービス(保育園,学童クラブ,シッターサービス,イベント派遣,託児ルーム等)が主な事業となっております。


3、コンビウィズ社の開発手法

 まずはモニターありきの手法で,そこから必要なモノを導き出して,企画→デザイン→設計→試験→量産と進めております。またセクション毎にもモニターの意見を取り入れ反映します。
 その中でも安全配慮設計も重要で,スキマ規定や可動部の配慮,スモールパーツ規定(小さな部品を子供が飲み込まない様に注意している),材質規定,検針など様々なチェックを行います。
 それから、警告表示にも重点を置き,絵文字(ピクトグラム)を積極的に使用し,4カ国語表記や点字,配色にも配慮しております。


4、メンテナンスの仕方と課題

 点検マニュアル類は、製品に添付しており,日常点検と定期点検用の2種類を用意しています。管理は基本的に施主に依頼しておりますが,有料でコンビウィズでも行うこともあります(コンビウィズサービスセンター→各メンテナンス業者→設置先)。
 そんな中、以下のような課題が分かってきました。

1.故意による劣化
【破損,落書き,ステッカーの剥がれ,設置壁と製品のスキマにごみを入れられる等】

2.耐久使用による劣化
【湿式(水あらい)トイレでの錆び,汚れ,変色等】

3.レイアウト上の配慮
【トイレの面積にもよるが,手洗いとおむつ交換台を近くに配置する,便座とベビーチェアを近くに配置する,警告表示を正しい位置に配置する,など。】
 今後、これらについて、メンテナンス研究会の方々と、いろいろ議論させて頂きたいと思います。


5、質問・意見など

Q1:主な原材料は何か?
A1:製品によるがABS樹脂が多い。
Q2:ABS樹脂をきれいにするには?
A2:中性洗剤をお勧めしております。アルコールが入っていない方が望ましいと思われます。

【会場からの意見】
・対プラスチックにはアルカリイオン水はどうか。
・防汚に保護紙を引くのはどうか。
・点検マニュアルについては利用者用も必要ではないか。


第二部:「育児関係者から見た最近のトイレ事情」

講師:アントイレプランナー代表 白倉正子氏

1.育児とトイレとは?

 私はトイレ専門の企画会社を経営しながら、3人の子育て中です。6歳の子はもうトイレ自立をしました。2歳の子は現在トイレトレーニング中で、1歳の子はまだオムツです。私は「人生と排泄」は、誕生と同時に始まり死ぬ間際まで続く密接な関係だと捕らえています。つまり幼児期のトイレ経験は一生のスタートとなるのです。人は成長の過程で、オムツ(0〜1歳)→トイレトレーニング(2〜3歳)→付き添われてトイレへ(3〜4歳)→男女に分かれて自立(5歳〜)と進化します。でも保育園の入園や妹弟の誕生で赤ちゃん返りをするケースもあります。


2.最近の乳幼児のトイレ事情は?

 新生児は一日に7〜15回行ないます(紙オムツか布オムツかによって違います)。主な目的は,からだを清潔に保つ、健康チェック,スキンシップ,成長の過程,親が外出時に常に交換場所を意識する存在などです。最近は紙が主流で、サイズ・機能・デザインが種類豊富に誕生しており、具体的にはトイレトレーニング用やキリンやシマウマのような模様のおしゃれ用オムツも誕生しました。1枚あたり15〜30円程度で、だいぶ求めやすくなりました。
 ちなみに「トイレトレーニング」とは、便器で排泄する習慣を作る訓練のことです。おまるや補助便座など、トレーニンググッズが増えてきました。しかし逆に快適すぎるせいか、オムツはずしの時期が、以前より相当遅れていることが指摘されています。


3.乳児のトイレに求められる要素

 乳幼児のトイレとして、ふさわしい要素は、安全・清潔・時間がかかっても大丈夫・荷物置きスペース・広さ・探しやすさ・男性でも参加しやすい配慮・授乳スペース・大人も排泄できる・子供の興味を引くデザインなどだと考えます。現在よく見る代表的な乳幼児対応トイレ設備としては、 オムツ交換台・ベビーキープ(赤ちゃん用椅子)・オムツ用ごみ箱・子供用便器(便座)・女子トイレの中の男児用小便器・小型洗面器・踏み台・フィッティングボード(着替え用踏み台)・授乳室・調乳設備などがあげられるでしょう。嬉しい育児トイレ設置例としては、子連れの多く集まるおもちゃ屋や飲食店に、だいぶ設置されるようになりました。また多機能トイレに育児設備が設置される場面が増え、男性でも利用できます(※現場の写真で紹介しました)。また育児トイレのピクトグラム(絵文字)も豊富になり、ベビーカーごと入れるイラストなどは大変便利です。
 しかし育児設備が無いトイレはまだ多く、そこではなんとか格闘しています。例えばオムツ交換台がない場合には、洋式便器の蓋の上で交換をするという具合です。特に狭いトイレや荷物が置けないトイレは不便です。また男性の育児参加が増えている割に、男性トイレには設備が無い事が多いので、女性側の負担はまだまだ多いように思います。


4、育児トイレで、ちょっと気になること

 せっかくの育児トイレ設備があっても、設置の仕方が悪くて使いにくいトイレも見かけます。
 例えば、女子トイレの中に男児用小便器があるのは良いが,なぜか大人用小便器が設置されてしまうケースです。これでは子供では背が届かないし、センサーが感知できず水が流れない現象が起きてしまいます。また子供用の小さくてかわいいトイレブースがある場所もありますが、実際は天井やドア幅が狭すぎて、親が中に入って子供の下着の上げ下ろしやお尻を拭くなどの補助が出来ず、もったいないなあと感じています。


5、最近の.育児トイレを担うソフトや時代変化、そしてメンテナンス

 最近はトイレの話題がだいぶ表立って表現される事が増えました。例えばNHKの育児番組内では、「パンツぱんくろう」という排泄を指導するアニメが放送されていました。また「がっこうでトイレにいけるかな」という便器の使い方を指導する絵本も誕生しました。
 その一方で、「急増するオシッコできない子供たち」という記事が掲載されるなど、皮肉なトイレ自立を懸念する事柄も増えてきました。また家庭における洋式便器の普及や和式便器の減少などで、洋式便器以外(小便器・和式)では用を足せない子供が急増することも予想されます。肝心の親達は「焦らずに子供の自立を見守りたい」と感じているようです。


6、メンテナンスとまとめ

 一般的にベビーベットの見た目は一応キレイだと思いますが、赤ちゃんの排泄物による大腸菌が付着しているケースがあるので、感染は怖いです。またオムツ交換台やベビーキープそのものが荷物置き場に使用されてしまうケースが多いので、荷物置き場は別にあるべきだと思います。またオムツ交換台の子供の転落防止のベルトが、たまに固定力が弱まっている事があるので、こまめにチェックして欲しいと思います。
 最後にまとめますと、(1)インフラ整備は整ってきて良くなっていると思う。(2)ただし,付帯設備の位置(配置・高さ)などは使う側の立場になっていない場合がある。(3)和式便器を使用する機会が減ってきているので訓練が必要である。(4)オムツ離れが遅くなっているのは社会状況の様々な変化のあらわれである。(オムツの高性能化や核家族化など)。(5)トイレトレーニングの教材が増えているのもその一端と思われる。(6)オムツ交換台などのメンテナンスのあり方を議論すべき・・・と言えるでしょう。  今後もトイレ自立と外出支援になるようなトイレを、増やす一助が出来れば幸いです。


7、意見・感想など

会場からは以下の意見が出ました。

・荷物置きとなるフックや棚などの重要性は施主に伝わり難いので,メーカー側からの提案を積極的にして欲しい。
・トイレ設備の組合せ(素材・環境・設置数など)は無数にあり,付帯設備の種類も増えてきているので,それぞれに適したメンテの仕方を検証し,正確に伝える必要がある。
・洗剤ひとつ選ぶにしても床や壁,パネル,付帯設備などの素材によって変わるし,湿式か乾式によっても使えるモノが限られてくるので今後より一層の研究・整理が必要となってくる。

…というわけで、男性の私にはとても新鮮な話題が多く、興味深く拝見させていただきました。


(株式会社總武 塚越俊介)


講師の麻上秀篤さん。育児関連企業の歴史から現在の広がりを話して下さいました。

コンビ社の代表的な「オムツ交換台」。発売当初は社会的に理解されなかったそうです。

ベビーキープがあれば、親も安心して自分の用が足せる。

この実験装置でどのくらいの重さに耐えられるか?を調査中

大型オモチャ店舗では、コンビウィズ社のオムツ交換台がたくさん設置されている。

働くママの白倉正子さんは、子連れであちこちのトイレを利用しています。

トイレトレーニングの専門誌も誕生したとか…(これは主婦の友社より発行)

最近はベビーカーごと入れる広めのトイレが増えて助かります。

最近増えた子供用の小さなトイレ。でも親子が入れる広さが望ましい。


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