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報告レポート(123回)





2008年 6月 23日 (月) 15:00〜17:00
会場:TOTO株式会社 新宿エルタワー26階プレゼンテーションルーム(東京都新宿区西新宿)

■小便器排水管内の汚れバイオフィルムについて
   講師:春山智紀 
  (無臭元工業株式会社 研究室主任研究員、環境測量士)
   
 前回の定例会に引き続き、無臭元工業株式会社 研究室主任研究員の春山智紀様を講師にお迎えし、小便器排水管内の汚れ「バイオフィルム」の、制御技術について、具体的に解説して頂きました。

1、バイオフィルムの特徴
1.特長的な三次元構造(EPS:菌体外多糖類)
2.遺伝情報の水平伝達能(外的ストレスに対し、どんどん強くなる性質)


2、バイオフィルムの制御
■制御の種類は次の4つに大別できる。
1.殺菌:微生物の生存性を失わせること
2.静菌:微生物の発育を阻害すること
3.除菌:制御対象系から微生物を系外に移すこと(殺菌と混合され易いので注意)
4.遮断:系外に存在する微生物が制御対象系内へ侵入するのを阻止すること。

【物理的な方法】
(1)熱(高温130℃、低温)
(2)機械(ががっと混ぜる⇒菌の細胞を壊す)
(3)電磁波
(4)電気的磁場(電気で引き寄せて除外)

【科学的な方法】
(1)化学薬品を使用
・次亜塩素酸:対象のバイオフィルムの性質が分らない場合は、1番効果的である。また、塩素濃度が高いほど効果的である。
・アルコール:濃度70%〜80%が効果的。100%は菌への浸透性が低い。

【生物的な方法】
(1)制御対象の微生物に敵対する生物を投入。
  (乳酸菌は効果はあるが、菌の補充が大変なことが難点)

■制御の考え方
 バイオフィルムの制御対策上、とりあげるべき制御の種類は主に殺菌と除菌である。一般に、浮遊状態よりも表面付着によって種々のストレスに対して抵抗性を増し、バイオフィルムを形成するとそれが一層強化されることが知られる。

3、具体的な方策
1.表面改質による形成防止技術(制御対象視点)
 (1)レーザー照射による抗菌性酸化チタン材の作成と、バイオフィルム形成防止への応用
 (2)複合メッキ法による抗菌性金属面の作製
 (3)抗菌性物質除放性ステント
 (4)海面エネルギーの高い内装材
 (5)汚染の起こり難い染料
 (6)光触媒親水性技術

2.設計や装置
 (1)移動式のCIP装置
 (2)バイオフィルムの付着しにくさ継ぎ手の設計

3.洗浄によるバイオフィルム除去技術
 (1)電解水による野菜の殺菌
 (2)プラズマによる洗浄殺菌

4.脱離・分離による除去技術
 (1)パルスレーザー照射による防止
 (2)分解酵素を用いた除去システム

5.バイオフィルム形成阻害剤
 (1)ラクトフェリンによるバイオフィルムの合成制御(未開発)
 (2)バイオサーファクタントを利用した阻害

4、バイオフィルムのモニタリング技術
 制御技術と並んで必要な技術として、バイオフィルムの性質を知る検査法が必要になる。しかしながら、バイオフィルムは微生物にとって生育条件の悪いところに形成されやすく、その構成成分の85%〜96%が水であり、乾燥した表面にはバイオフィルム構成成分の2%〜5%しか認められない。そのため、通常の栄養増殖期にある微生物の検査法で検査した場合には、結果の解釈に注意が必要である。

■一般的な微生物検査方法(7種)
1.一般細菌培養法(ふき取り法、簡易培地)
2.顕微鏡を用いたバイオフィルムの検査法
3.電子顕微鏡を用いる検査法
4.共焦点レーザー顕微鏡を用いる検査法
5.インピーダンス法
6.蛍光染色法
7.ATP法

5、感想
 バイオフィルムについて、2連続での講義を聴くことができ、特徴や制御方法など認識できました。制御については、これといった100%のものは無く、その場所、そのバイオフィルムの性質にあった対応が必要になってくることも分り、制御の難しさを認識できました。
 そんな中、制御方法の組み合わせにより効果を上げることができるなど、これからの技術として期待をします。2連続での講義、ありがとうございました。
                    (株式会社アメニティ 内田康治)

講師の春山智紀氏。
当日は現場から直行で駆けつけてくれました。

分かりやすく図を描いてくださいました

目で見ることの難しい世界のことを伺い、聞いていた方々も真剣です。


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