日本トイレ協会メンテナンス研究会公式HP

報告レポート(117回)


第117回定例会 2007年9月14日(金)
  INAX銀座ショールーム会議室にて

 マレーシア、ランカウイ島で
  働く人の「にこやかな微笑み、輝く眼」と
   トイレから考えたこと

講師:当研究会代表(坂本菜子コンフォート研究所代表) 
  坂本菜子

 今回は坂本菜子代表が、マレーシアを訪問した際にご覧になられたトイ
レについて、現地の環境等を踏まえてご紹介いただきました。


1、マレーシアの旅

 成田から7時間マレーシアの首都クアラルンプールに到着します。そこ
からさらに1時間半マレー半島の西南に位置するランカウイ島は、100前
後の大小の島々から構成されているランカウイ群島の中で1番大きな島
です。ランは鷲、カウイは大理石を意味するそうです。10年ほど前まで知
名度も高くなかったこの島が注目をあびるようになったのは、マレーシア
政府が第二のペナンをめざしてPRをしたこと、そして1987年に島全体を
フリーポート化して、1切の間接税をなくしたからです。
 マレーシアの特徴を少し述べますと人口2664万人,多民族国家で(マ
レー系約66%、中華系約26%、インド系約8%)民族間の融和と国民統
合が主要課題といわれます。憲法ではイスラム教が国教に定められてい
ますが、同時に個人の信仰は自由との事。13州及び3連邦地域からな
る連邦国家で元首(国王)は9人のスルタンの中からスルタン会議で互選
により選出され任期は5年間だそうです。ちなみにホテルのロビー上壁に
はスルタンの肖像画9人並んでいるのが印象的でした。
 かつては典型的な1時産品ゴムの輸出国であつただけあり上空から空
港周辺にゴム森林がいまもその様子を見ることが出来ました。
 現在は外国資本の導入により製造業を中心に工業化が推進し、顕著な
経済発展遂げて着ているようです。マハティール首相が2020年までの
先進国入りのビジョンを表明、しています。
 貿易面でも(2004年)輸出は1位アメリカ、2位シンガポール、3位日
本。 輸入は1位日本、2位米国、3位シンガポールという具合に日本と
の関わりも大多いようです。
 以上のような背景をお伝えし今なお自然に満ちたランカウイ島の数々の
エピソードをお伝えします。


2、にこやかな微笑み、輝く眼

 ランカウイはプーケット、バリなどの賑やかビーチリゾートとは異なり自然
で清楚な雰囲気に包まれたリゾート地です。島の北部にはマングローブ
樹林など人の手のついていない自然が広がっています。
 今回は島内、最大の規模を誇る敷地28万m2以上におよぶ大型リゾー
トでほぼ1週間滞在しました。広大な敷地には400室のコッテージが(こ
こではシヤレー様式と呼びます)海岸線から山上にまで点在しており、本
部になるロビーからは24時間オープンカーが電話1本でコテージまで迎え
に来てくれます。数件(12人乗り)のコッテージのお客を順番に送り迎え
しながらのほぼ1日中お客の対応をしてくれます。
 この対応の素早さはあっぱれなものです。山の中腹のコッテージに到着
したのは日も暮れ鳥のさえずりと「きーきー」という大きな声、そのうちにス
コール、「熱帯雨林」らしさの体験です。朝6:00頃窓の外の樹林が大きく
揺れ動くのにまたスコールかと思えば樹々に野生のサルが「キーキー」と
叫びながら裏山へ帰って行きました。
 朝の散歩を兼ね山を下りロビーまで朝食に出かけます。洋食、タイ風、
中華、パパイヤをはじめとするトロピカルな果物には満足感を得ました。
 部屋に戻りますとメイドさんがお掃除中でした。
 マレーの女性で丁寧に床を箒で掃き床を拭いていました。桟、棚もきれ
いに拭きにこやかに、しかも光るような目つきで働く姿には都会のホテル
で見かける姿とはどこか違います。ひとつ気がついたのは電気掃除機を
使っていないことでした。舗装道路から山道の階段を10段ほど重い道具
をもつことも大変でしょう、このコッテージの良さは近代化されたホテルで
ないこと「モスキートン、と虫よけスプレーがあります、出かけるときには窓
を閉めてください。サルが入るといけませんので」彼女は優しい眼差しで
仕事を終え部屋を出て行きました。ビーチに出かけるため山を下り歩いて
いると道路わきの草や枯葉の掃除をしている男性に出会います。皆汗を
かきながらニコニコと挨拶、なんとほほえましい笑顔でしよう。言葉が通じ
ないだけ気持ちが通じるのでしようか。(マレーの方は英語も余り話しま
せん)
 ビーチは素晴らしく晴れ渡り波も穏やか、パラソルのベンチにはすでに
西洋人の老若カプル、や家族ずれが気の向くまま、読書、トランプ、ビー
チで子どもと砂遊び泳ぎをしています。
 プールサイドにも同じ光景が見られます。
 私も泳ぎを満喫ビーチレストランでランチを楽しみ話に無中、突然山の方
から黒い雲が流れ込んできます。スコールの到来。ビーチの人たちはレス
トランやロビーに非難です。浜には人影一つなくなった頃、2~3人の男性
が大きな箒を持ち浜に出てきました。彼らはこの雨のなか浜辺に打ち寄
せられた樹の葉や樹木、貝などを掃き始めました。その間約1時間、掃き
尽くされた浜は白いビーチに戻りスコールの後、太陽がさんさんとが輝き
始めました。私達はまた綺麗な浜に戻り楽しみます。思えばこの浜には
「ビニールのゴミやペットボトルなどが全然落ちていなかったこと彼らが掃
いていたものは自然界にあるものだった」「きれいなトイレはマナーもよい」
ことを思い出しました。


3、マレーシア・ランカウイ島は
   ビーチもトイレも清掃完備

 ランカウイ島のトイレは、すべてホース付き。しかも日本製品が多く見ら
れました。ホテルの洋風便器やビーチのトルコ式便器など、そこにはすべ
てホースが付いています。マレーの人々は用を足した後、右手でホースを
持ち、左手で洗うのです(我々が今や日常使用している洗浄式トイレ【ウ
ォシュレット・シャワートイレ】ですが、その技術力がここ15年以上は発展
しているのにもかかわらず、国柄・習慣によってはこのホースを使う方法
がより伝統を重んじ日常の生活にはいとおしく大切なことのようなので
す)。日本人である私には、どうしてもホースのノズルを手で持つことが出
来ませんでした。
 以前、シンガポールで、メンテナンスの技術講習に行った際、やはりこ
のホース付トイレが、メンテナンスの使用上では大変便利に使用できまし
た。各ブースにあるこのホースは使用者が用足し後に使うだけではなく、
床の洗浄にも使えてとても便利なものです。この文化の違いを日本の洗
浄式トイレと床洗いホースを、両国の開発に並行して行うことが出来れば
良いのではないかと思うのは、異国の私だけでしょうか。


4、マレーシアのトイレから学ぶ
 日本人の多くは世界中の人々がトイレで紙を使っている、と思っていた
時期もありましたが、トイレの研究が進むにつれ世界の人口の3分の2が
紙以外のモノで始末していることが語られるようになりました。アジア地域
ではインド、インドネシア、タイ、シンガポールやマレーシアでは水で後始
末をします。今でもその習慣が各地で見られます(もっともホテルやレスト
ランのトイレにはトイレットペーパーが置かれていますが)。今回の経験で
私はもちろんペーパーを使用していたのですが、熱帯雨林の地域である
ためか、紙が湿気を含んでしっとりした状態でした。とすれば、水で始末
することはこの地域にあった使い方なのかもしれないとも思いました。
 世界の旅の中から学ぶトイレの習慣や文化は、先人の知恵から生まれ
たものが多く見うけられます。地球の温暖化や環境問題が騒がれる昨
今、各国のトイレを見聞することにより、重装備、近代化しすぎた、日本の
トイレを、再検討したい時期が来ているようです。

(この発表後、リニューアルされたINAX銀座ショールームを見学しました)



マレーシアの地図



マレーシアのホテル入口



ランカウイ島の水上コッテージ


掃除機を使わずに
丁寧に床を箒で掃き、
床を拭く仕上げ。



大きな箒でビーチを掃く男性達



自然光の射し込む心地良い半屋外
空間の男性トイレ。



ランカウイ島の有料トイレの係員



日本製品の目立つ水まわり



ホースのついたトイレ(トルコ式)



トイレ内の紙と水栓と排水口。
紙は湿気を含んでしっとり。
ホースは用足し後に使うだけでなく
床洗浄にも便利。



トップへ
トップへ
戻る
戻る