報告レポート(第115回)

「自己処理型トイレの維持管理と課題」
 講師:小林俊之 潟Iリエントエコロジー
 

開催:2007年6月29日(金)15:00〜18:00
場所:INAXダビンチ京橋ビル5F(八丁堀)


1、自己処理型トイレとは? 
 私は自己処理型トイレと呼ばれる新技術トイレの販売と、その処理技術を
広める「自己処理型トイレ研究会」の運営に携わっております。自己処理型ト
イレとは「既存のインフラに極力頼らず、処理水を公共用水域に放流しない、
環境に配慮したクローズドタイプのトイレ」で、特徴は@必要水量が少量、水
を必要としない、A消費電力が小さい、電気を必要としない、B発生汚泥の
減容化をはかる…と言えます。具体的には5つの方式があります。
@バイオ処理方式…し尿を多孔室で空隙率が多い杉チップやオガクズなどと
混合・攪拌し、空隙に蓄積し、好気性条件下で微生物により水と二酸化炭素
に分解する方式
A焼却処理方式…灯油バーナーなどを用いて汚水を直接焼却し、灰と二酸
化炭素に変える方法。
B生物・科学処理循環方式…汚水を好気性微生物(生物処理)や、鉱物抽
出液(化学処理)を用いて処理し、再び洗浄水として使用する方法
 C土壌利用方式…土壌を用いて汚水を浄化する方式。汚水は嫌気または
好気性の微生物による前処理を施した後、土壌中に浸透させて処理する。
 D携帯トイレ…し尿を吸収ポリマーやパルプなどで凝固・吸収し、生分解す
る素材やポリエチレンを使用した袋などへバック処理する方式
 

2、(株)オリエントエコロジーの歩み
 次に弊社(株)オリエントエコロジーの自己処理型トイレ(「せせらぎ」という
生物・科学循環処理方法を用いた製品)の開発経緯を、参考までにお話しま
す。当初、東洋建設の自社現場内のトイレとして開発しました。その後河川
公園での展示会等に出展した結果、水道設備が不要で処理汚水を放流しな
いトイレとしての有用性と必要性が認められ、世界遺産である屋久島の縄文
杉登山道のトイレとして採用されることになり、子会社として、(株)オリエント
エコロジーを発足させました。最近では新潟や能登半島の震災被災地へ仮
設トイレ支援を行ったり、環境省の「環境技術実証モデル事業」の山岳トイレ
技術分野に参加しております。
 処理方法ですが「せせらぎ オゾン+(プラス)」の場合、便器から流れる洗浄
水を受入槽→貯留槽→分離槽→接触槽→送水槽とめぐらせ、物理処理を中
心に行います。その後オゾンの力でさらに処理を行い、きれいになった水を
繰り返し便器の洗浄水として再利用し、水を循環させております。汚泥と余
剰水(し尿で増えた水分)は時々バキュームカーで吸い出します。これによ
り、水道や下水道設備を必要としないというわけです。


3、「自己処理型トイレ研究会」の設立
 そこで、これらの新技術を世に広めるため、同じ志をもつメーカー有志が集
い、平成16年に本研究会を発足。平成19年にはNPO法人化を実現させ、
会員は10社となりました。会員は都心部に限らない全国各地から集ってい
ます。2か月に一度勉強会を実施し、意見交換や啓蒙活動をしております。
最近では全国の自治体にアンケートを送り、新技術の必要性や要望をまとめ
ております。


4、自己処理型トイレの維持管理(処理システムのメンテ
ナンス)状況とその課題
 維持管理ですが、自己処理型トイレの清掃業務形態は主に、専門の清掃
業者や外郭団体・地域住民に委託したり、自治体が直接的に管理していま
す。維持管理(余剰水の汲み取りや機械の点検など)は、清掃業者以外に
設置メーカーや浄化槽維持管理業者なども加わります。本来なら一本化(細
分化しない)が理想ですが、専門性が高いためそうしにくいのが実情です。
そのためちょっとしたトラブルでも、小規模メーカーがわざわざ遠方まで足を
運ばなければならない事もあり、コストが増えることもしばしばです。
 先にも述べた通り自己処理方式には5つのケースがあり、各技術(各社・
各製品ごと)に方式が違い、水や薬品や洗剤を使用すると処理に影響を与え
るため、便器についた排泄物や尿・ホコリ・水汚れの清掃がしにくくなるという
課題もあります。そこで5つの技術別の分かりやすいメンテナンスマニュアル
を早期に作成し、メンテナンス技術が行き届くようにしなくてはならないと、自
負しております。また処理装置に関しては、維持管理の法的義務化がなさ
れていないため、管理者意識が低いなど、浄化槽設備と同レベルの法整備
が求められますので、関係省庁との連携を深めたいと思っています。


5、今後の展開と、普及に向けた課題
 今後、自己処理型トイレの行方は、防災設備として震災時や災害時のトイ
レとして活用が期待できます。また短期間に大勢が集まるイベントでも、悪臭
がしない快適なトイレとして期待されています。今後は障害者&高齢者対応
にも積極的に取り組みたいと思っています。そのためにも、普及活動・法整
備・関係省庁との連帯強化・コスト対策・メンテナンス体制などを充実させた
いと思いますので、メンテナンス研究会にお力添えいただければ嬉しく思い
ます。


6、会場から
【質問】
Q1、「せせらぎオゾンプラスの場合、バキュームカーで汲み取りをする頻度
は?
A1、使用頻度にもよるが、年に1〜2回程度。
Q2、使用者のマナー悪で発生したトラブルは無いか?
A2、ペットボトルの落下によるものはあったが、深刻なものはまだ少ない。
Q3、家庭での利用は可能か?
A3、不可能ではないが、現在では行っていない。

【意見&アイディア】
・早期に「自己処理型トイレメンテナンスマニュアル」を作り、誤りのない清掃
方法を全国に普及すべき(我々メンテナンス研究会が97年に発行した「トイレ
メンテナンスマニュアル」では技術が不足するため)。
また誰でもわかるよう、写真や動画で見られるよう、工夫してはどうか?
・洗剤による洗浄の行えない便器の頑固な汚れには、普通の便器用ブラシ
では無理。ポリッシャーで使うパッド素材が向いているのではないか?また
は合性のよい中性洗剤を探してはどうか?(泡の出にくいタイプなど…)
・オゾンによる処理能力は目を見張るものがあるが、有害になることもあるの
で、きちんと知識が必要だろう。
・自治体管理者が採用時に理解しやすいパンフレットの作成が大事だ。
・今回は一社のみの商品情報だったので、今後は各社(各技術)ごとに検討
すべき。


7、感想
 1、自己処理システムの方式が5つあるなら、今後はその処理システム各
社(各製品)の専門性の高い処理方式を一社づつ理解した上で、床・大便器
や小便器から処理システムまでの汚物の経路・手洗い器・備品等の使用材
質の性質を把握し、日常清掃から特別清掃までの、道具およびノウハウの
正確なマニュアルを作る必要があると痛感した(坂本菜子代表)

2、我々メンテナンス研究会がこれまでに研究してきた公共トイレの維持管
理と、新技術のトイレ維持管理に求められるものは、大きな違いがあると思っ
ていたが、共通している部分も相当あるようなので、お互いに協力し、さらに
よいものにしたい。新しい文化や制度を作る上で困難な課題が多々あるだろ
うが、エコロジートイレの普及は時代の要請でもあるので、理解者が増えるよ
うして欲しい(アントイレプランナー白倉正子)。


●自己処理型トイレ研究会の概要
 特定非営利活動法人 自己処理型トイレ研究会
 〒111‐0041 東京都台東区元浅草4―7―19 
 TEL&FAX 03−5827―1044
●潟IリエントエコロジーHP


講師の小林俊之氏。
分かりやすい説明に一同感心。




屋久島の縄文杉登山道のトイレ:
環境に負荷を与えないトイレとして活
躍。運搬はトロッコ列車で行ったそう
だ。





「せせらぎ オゾン+(プラス)」の
システムフローチャート
クリックすると大きくなります。



 
新潟や能登半島の震災時のトイレと
しても活用。今後が期待される。




イベント時のトイレ利用:
悪臭がしない洋式便器だった
ので女性に人気!と新聞掲載。




自己処理型トイレ研究会の会員も参
加:必死にメモを取ることもあった。




メンテ研会員からの意見やアイディア
は商品開発に関わる具体的なものま
で…。

日本トイレ協会メンテナンス研究会公式HP



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「せせらぎ オゾン+(プラス)」のシステムフローチャート