日本トイレ協会メンテナンス研究会公式HP


報告レポート(111回)

これからは、若手会員が交代で定例会の様子をレポートします。
 
2007年1月22日(月) 16:00〜18:00
  メンテナンス研究所にて(世田谷)

テーマ:「世界のトイレ事情」  講師:平田純一
 1933年福岡県生まれ。東洋陶器(現TOTO)に入社し、専務取締役をつ
とめて退任。現在も世界各地のトイレの視察・研究を続ける。著書に「トイ
レットのなぜ?」(講談社ブルーバックス)、「トイレの大常識」(ポプラ社・監
修)などがある。現在、日本トイレ協会副会長。

■1.中国のトイレ事情
 中国のトイレ事情は、ここ数年で大きな変化を続けています。
特に2008年の北京でのオリンピック、2010年の上海の万博に向けて急速
にトイレは整備されていますし。個々のトイレも変化しています。
 中国は熱帯・亜熱帯・温帯・砂漠地帯・寒帯・高山地帯など、さまざまの
顔を持っており、トイレに対する風俗、習慣も様々です。今回世界遺産に
登録されている四川省の九寨溝を見学しました。3100メートルから3500メ
ートルの高地で、多くの見学者が訪れると自然破壊が進むことから多くの
対策が講じられていますが、その一つとしてLPG車によるトイレバスがあり
ます。
 レストランや売店のあるところには固定したトイレがありますがそれ以外
の空間にはトイレはありません。そこで人の集中しそうなところに移動式
のトイレバス(写真1)が停車しており無料で利用することができ、観光客に
大変喜ばれていました。

 次に、しゃがみ式の便器(写真2)も微妙に変化してきています。
10年以上前は中国でのしゃがみ式便器の使いかたを聞かれたら
  1.ドアのほう(ドアが無い場合入口のほう)を向いて用を足す。
  2.排水穴の上にお尻を持ってくる。
  3.くぼみの形状の広いほうにお尻を据える。
実は1,2,3,は同じことを言っているわけでどれも正解でした(下左の写
真)。
 ところが写真3のように、排水口が手前のドアに来るものが出現してきた
ので現在でも1,3は正解ですが、2は必ずしも正解とはいえなくなってきま
した。それは水洗の普及とともに日本の和式便器と同じような浅い水たま
りのあるお皿の部分ができたためです。固定観念で見るととんだミスをお
かすことになります。第3番目にびっくりするのは写真4のようにキンカクシ
付きの便器が出現したことです。まだ多くは出ていませんが、いずれキン
カクシ付きがありふれた便器になってくるかも知れません。

2.タイのトイレ事情
 2006年11月、タイのバンコク郊外のIMPACTという展覧場でWorld 
Toilet Expo &Forumが開催され10ヶ国以上のトイレ関係者が集まって討
議が行われました。
 この会合は世界各地で行われるのですが、どこも知恵を絞ってお客様を
もてなそうとしています。今回の会場の入口にはトイレットペーパーで洋式
便器のオブジェ(写真5)を作って人目を引くと同時に楽しさや遊び心を演出
していました。
 さらに会場にはタイの昔のトイレの写真パネルと実物模型が出展されて
いました(写真6)。それによると大昔は日本と同じように穴の上に板を渡し
て使用していたようですが、トイレが小屋形式になると、タイでは屎尿を肥
料にする事がありませんので、床下に置いたバケツに排せつしてそれを
捨てに行く形式で、床に切り込み穴は30cm×10cmで模型は作られてい
ました。日本やアジアのしゃがみ式と西欧のオマルによる処理方式が一
体になったようなもので感心しました。


3、ブルガリアのトイレ事情
 琴欧州が大相撲にきて以来、ブルガリアの国名や位置が日本人に知ら
れるようになりました。そのブルガリアは2007年1月1日EUに加盟し、今か
ら発展する国ですが、産業らしき産業がなく、唯一世界のバラ系香水に原
液を80%供給していることです。
 さて、ブルガリアのトイレは洋風かしゃがみかということですが、ギリシャ
正教、ロシア正教と同じようにブルガリアもブルガリア正教で洋風トイレの
世界です。
 今回宿泊した首都ソフィアのホテルのトイレにはお尻洗浄装置がついて
いました(写真7)。ノズルは便器から出ていて角度を変えることができます
が、水だけで止水栓のハンドルを自分で調節しながら開閉するようになっ
ていました。
 日本の温水洗浄便座に比べればまだ幼稚ですが、いずれブルガリア流
洗浄装置に発展しているのでしょう。

■4.カナダのトイレ事情
 カナダは都市から一歩外に出ると森林みたいな国ですから、半日とか1
日で回れるハイキングコースやトレッキングコースが各所にあります。
駐車場に車を置いてコースに入る前には必ずといってよい程トイレがあり
ます。また山中にも雨や風を避けるための避難小屋とセットになっているト
イレもあります。
 写真8は避難小屋の後方にあるトイレ、いわゆるバックハウスです。これ
らの小屋は地下何メートルかは判りませんがパイプが埋めてあり、上部に
便座があるので洋式のポットン便器です。数年は使えるようで万一満杯に
なれば数メートル移動して設置すればよいわけで、いずれは自然の力で
浄化されていきます。カナダに限らずどこでも自然に入ればこれに似たも
のは世界中にあります。

■感想
 今回の平田先生のお話では、世界各国の主に発展途上国のトイレを見
せていただきました。どのトイレも、その地域・文化にあった工夫を感じま
した。一方で、日本のトイレは技術面・機能面など、どの国にも負けない
「美しいトイレ」だと、改めて感じる事となりました。
 また、それらの発展途上国のトイレも、メンテナンスに対してそれぞれの
トイレにあった工夫があることが見られました。そして環境問題に関して
も、トイレを通して再確認する事ができたレクチャーでした。(報告者:内田
康治(株)アメニティ)

以上(議事録:内田康治)
  
熱弁される平田純一先生

  (写真1)中国のトイレバス


(写真2)しゃがみ式便器

(写真3)手前に排水口がある便器

(写真4)きんかくしがある便器

(写真5)タイのトイレオブジェ

(写真6)タイの旧式トイレ模型

(写真7)ブルガリアのお尻洗浄装置

(写真8)カナダの小屋型トイレ



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